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社長コラム

2006年3月 1日掲載第1回懸賞付き学生論文コンテストを終えて

■コンテスト開催の趣旨

昨年11月から今年の1月にかけて、株式会社ICSTは、大学生を対象とする論文コンテストを開催しました。次世代のビジネス・シーンを担うのは、現在学生の諸君です。このコンテスト開催の趣旨は、独創的なアイディアを持ち、起業精神にあふれたフレッシュな人材を発掘したい、また、社会人の常識にとらわれない学生としての斬新なアイディアに接する機会を作りたい、というところです。学生の皆さんにとっては、情報をまとめて多くの人の自分の主張を理解してもらうという、プレゼンテーション技術を磨くチャレンジの場になればと思います。同時に、コンテストをきっかけに学生の皆さんにも、医療機器ビジネスや貿易に興味をもってもらい、弊社の存在も、より多くの人に知ってもらいたいとも考えました。願わくば、このコンテストをきっかけに、優れた人材を発掘と起業の手助けになればよいと考えています。

■経緯

 論文テーマは、以下の2つです。


1.BRIC'sでの医療ビジネスの可能性について
2.医療とITとの融合ビジネスの展開について

最優秀賞1名、優秀賞1名を選定することとしました。最優秀賞には賞金15万円、優秀賞には賞金5万円が授与され、副賞として、さいたまSOHO起業家協議会(SOHO新都心)ランチセミナーでの研究成果発表がつきます。

審査は、コンテストの趣旨をご理解いただいたうえで、以下の方々におこなっていただきました。


<審査委員>
審査委員長 遠藤 勲 様 埼玉県産業技術総合センター 総長
審査委員 村重 嘉文 様 財団法人埼玉りそな産業協力財団 副理事長
審査委員 太田 昇 様 NPO法人さいたまSOHO起業家協議会
審査委員 トラン ゴック フック 様 株式会社 メトラン 代表取締役
審査委員 横井 博之 株式会社ICST 代表取締役

CIC(キャンパス・イノベーション・センター)(http://www.zam.go.jp/e00/e0000900.htm)のご協力を得て、全国33大学に対して情報発信し、募集を行いました。平成17年11月1日~11月20日にエントリーを行い、論文締め切りを平成18年1月10日とし、論文審査を平成18年1月23日に行いました。

募集要項(PDFファイル)

審査の結果、最優秀賞に山形大学大学院理工学研究科システム情報工学専攻の宍戸道明氏の「効率的外来診療支援システムの構築」、優秀賞に山形大学人文学部総合政策科国際取引法専攻の佐藤ちひろ氏の「BRIC'sでの医療ビジネスの可能性」が選ばれました。

 

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宍戸氏・横井社長・佐藤氏

去る2月17日に、さいたまSOHO起業家協議会とSOHO新都心共催のランチセミナーにおいて、受賞者を招いて、(株)ICST主催、さいたまSOHO起業家協議会後援による「懸賞付き学生論文発表会」が行われました。当日は、日本経済新聞の取材もあり、翌日18日の埼玉版に大きく報道されました。

 

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宍戸氏の発表                佐藤氏の発表

 

ランチセミナーは参加者約50名をえて盛況となりました。お弁当を食べながらリラックスした雰囲気のなかで、受賞学生の発表が行われました。受賞者の二人の発表も素晴らしく、有意義なものとなりました。また、こういう発表の場は、受賞者の励みにもなったと思います。VB(ベンチャー企業)単独での懸賞付き論文コンテストは珍しいとのことで、日経産業新聞にも大きく取り上げていただき、このような情報発信の方法もあるということを気づいてもらえたと思います。

■講評

審査委員長の遠藤 勲氏(埼玉県産業技術総合センター 総長)から講評をいただきました。

宍戸道明氏「効率的外来診療支援システムの構築」

大変おもしろいテーマです。ただ、参考文献が1つもないのが気になりました。ICタグを利用した医療システムについては、論文や特許がたくさんあります。こういったものも調べた上で論文を書いていただきたい。提案のあった外来診療カードと病院内でのネットワークとの関連がどうなるか、CTスキャンやMMRなどの診療機器がある環境では、メモリが破壊される心配もある、そうした部分や商品化する際の問題点にも詳しく言及して欲しかった。私を含めて、病院での待ち時間のいらいらは実感しているので、「専門のシステム情報工学の観点ではこのカードはこうだ」というふうな視点もあれば、なおいっそう感銘を受けたと思います。

佐藤ちひろ氏「BRIC'sでの医療ビジネスの可能性」

インドといういい国を選ばれた。これを高く評価します。しかし、引用文献がどこでも買えるような一般書であったのが少し残念でした。地域経済などを含めた詳しい論文も引用して欲しかったです。また、感染症などが問題となる下層階級、貧困階級における公衆衛生、プライマリーケアといったところにも、詳細な分析をして欲しかった。

 

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審査委員長の講評

■今回のコンテストについて

この論文コンテストは、企画構想から実現まで6ヶ月がかかりましたが、関係各位のご協力により、募集、審査とも滞りなく終えることができ、発表会まで無事こぎつけました。関係各位には、この場を借りて、お礼申し上げます。また、受賞したお二人には改めておめでとうを言わせていただきます。

佐藤ちひろさん

 BRIC'sの中のインドを取り上げて、そのビジネスの潜在力と医療ビジネスの可能性、及び販売に関するアイデアなどを盛り込んだ内容でした。特に販売方法に関しては「なるほど!」と思わせるところもあり、学生さんらしい柔軟なアイデアが感じられました。発表も初めは緊張気味でしたが、最後までしっかりと発表していただき、なかなか堂々とした物となりました。卒論のつもりで書いたということで、その意気込みが優秀賞につながったと思います。

東京を満喫して帰宅されたとのことで、元気いっぱい明るく爽やかでとても好印象でした。

宍戸道明さん

この論文は、病院にて実際に困っている待ち時間のイライラやストレスの解消に繋がる物でした。既に同種のアイデアは世の中にあるのですが、バイタルサインを事前に測定し、同時に時間をコントロールして患者に知らせることで、イライラや余分なストレスをなくし、時間を有効に活用できる点が評価されます。実際問題としては、病院のシステムを大幅に変更しなければならない等、具体化するにあたっては、更にアイディアを付け加えなければならないとも感じました。

宍戸さんは医療機器の開発経験もあり、現在は山形大学にて博士号を取得しようするチャレンジ精神あふれる好青年でした。発表の最後に「本当で心のこもったサービスとは? 患者本意の医療機器やサービスが大切でありそういう物作りをしてゆきたい。医療は儲けだけ考えないで、『ありがとう!』と心から言っていただける仕事がしたい」という言葉が印象的でした。とかく事業はお金を先に考えがちですが、この言葉は今後のICSTも肝に銘じて事業を行ってゆきたいと思います。


今回は、第1回ということもあり、応募数がまだまだ少ないのが残念でした。また、告知も不十分であったとも感じました。次回も、新たなアイデアも加えながら企画を継続していけるよう努力していきたいと考えています。また、このコンテストの趣旨に賛同いただけるベンチャー企業がありましたら、共催の形をとりたいとも思っています。協賛企業が増えることで、コンテストの認知度も増し、今回の医療分野に限らず、幅広い分野にテーマを拡大することも可能です。それに、賞金・賞品ももっと豪華にできるでしょう。このコラムを読んで興味を持たれた企業のかたがいらっしゃいましたら、ぜひICSTまでご連絡ください。

株式会社ICST 代表取締役 横井博之

■受賞論文

受賞論文の閲覧は当社にお問い合わせください。


最優秀賞 宍戸道明氏 効率的外来診療支援システムの構築
優秀賞 佐藤ちひろ氏 BRIC'sでの医療ビジネスの可能性

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